Apple Mail、Gmail、Yahoo が人より先にメールを要約する今、オファー・期限・行動の置き場所、Gmail の割引マークアップ、避けるべきことを解説します。

AIの読み手に向けてメールを書くとは、受信トレイに組み込まれたアシスタントが重要な事実を見つけ、正しく伝えられるように、マーケティングメールを組み立てることです。今では、Apple Intelligence、Gmail の Gemini、Yahoo Mail が、本人より先に多くのメールを読んでいます。Apple Intelligence を搭載した iPhone では、各メールの下に短い要約が表示されます。ちょうど、以前はプレビューテキストが表示されていた位置です。
要約に何を入れるかをモデルがどう選んでいるのかを公開しているベンダーはなく、私たちも知っているふりはしません。それでも、公開されている情報だけで十分に手を打てます。その多くは昔からあるアドバイスですが、重みが増しています。オファー、期限、行動を冒頭近くにプレーンなテキストで書くこと。そして、メールのどの部分でも同じことを伝えることです。
DiscountOffer のアノテーションを付けると、Gmail の「プロモーション」タブのメールに割引バッジ(最大4語)とコードが表示され、期限切れの3日前以内に、もう一度バンドルの最上部に表示されるチャンスも得られます。| クライアント | 機能 | 内容 | 利用できる人 |
|---|---|---|---|
| Apple Mail | 受信トレイでの要約(Inbox summaries) | 一覧の各メールの下に短い要約を表示 | Apple Intelligence 対応デバイス、対応言語 |
| Apple Mail | 優先メッセージ(Priority messages) | 急ぎのメールを受信トレイの最上部に移動 | 同上(「メイン」またはリスト表示) |
| Gmail | AI による概要(スレッドの要約) | スレッドの最上部に要約カードを表示し、期限のあるタスクのリマインダーを提案 | すべての Gmail ユーザー、対応言語 |
| Gmail | 検索での AI による概要 | 自然な言葉での検索に、メールの内容から回答 | 有料プラン、Gmail の言語が英語 |
| Gmail | AI Inbox(ベータ版) | やることとトピックを提案(「メイン」タブのみ) | 米国、英語、対象となる Google AIのプラン |
| Yahoo Mail | メッセージの要約(Message summaries) | メッセージ内の重要な情報をまとめて表示 | Yahoo Mail アプリと New Yahoo Mail |
Apple の iPhone ユーザガイドは、はっきりとこう書いています。「受信トレイの各メールの下に、短い要約が自動的に表示されます」。Litmus はプレビューテキストのガイドで、その影響をこう説明しています。「各メールの最初の数行がプレビューされる代わりに、ユーザーは受信トレイで、AIが生成した要約を直接見られるようになりました」。
Apple のカテゴリーのページには、マーケターが二度読むべき一文があります。「『取引(Transactions)』『アップデート(Updates)』『プロモーション(Promotions)』のメッセージに急ぎの情報が含まれている場合は、『メイン(Primary)』のメッセージ一覧にも表示されます」。さらに優先メッセージが、急ぎのメールを最上部に引き上げます。Apple が急ぎのメールの例として挙げているのはセールではなく、「当日のディナーへの招待や搭乗券」で、どう判定しているのかは説明されていません。
2026年9月14日に iOS 27 がリリースされました。Apple の発表によると、Siri AIは「メッセージ、メール、写真などにまたがる個人的な文脈を理解できる」とされています。リリースノートによると、メールの提案機能(Suggestions in Mail)も加わりました。「予約したレストランへの経路を調べるなど、メールの文脈に基づいて行動する手助けをする」機能です。要約と優先メッセージは、引き続き機能の一覧に載っています。iPhone のユーザーがあなたのメールについて目にする情報は、ますます Apple のモデルが生成したものになっています。
スレッドの要約。Google は2026年1月の発表で、「AI による概要」による会話の要約を、米国から「本日より、すべての人に無料で展開する」と述べました。現在のヘルプページには、「世界中のすべての Gmail ユーザーが利用できる」とあり、「期限のあるタスクのリマインダーを提案」できるとされています。自動で表示されるカードは「長いメールのスレッドなど、要約が役立つ」場面に表示されるので、単発のプロモーションメールには表示されないこともあります。ただし、誰でも、メールを要約するボタン(Summarize this email)をタップできます。
検索での AI による概要。2026年9月15日、Google はこの機能を「Gmail の言語を英語に設定している、世界中の(有料プランの)ユーザー」に拡大しました。欧州経済領域(EEA)、英国、スイス、日本の個人アカウントは対象外です。ヘルプページでは、次のように説明しています。「Gmail はまず、最も関連性の高いメールを見つけます。次に、それらのメールの情報を使って、AI による概要が生成されます」。購読者が「when does the Acme sale end」(Acme のセールはいつ終わる?)と検索すれば、その答えは、あなたのメールに書かれている内容そのものです。
AI Inbox。米国・英語限定のこのベータ版は、ヘルプページによると、「『メイン』タブのメッセージの情報だけを表示」します。そのため、ほとんどのマーケティングメールは表示されません。
サマリーカードと「プロモーション」タブ。Gmail のサマリーカード(summary cards)は、注文、イベント、旅行、請求、プロモーションについて、「メールから重要な情報を提示」します。次の一文は、モニターに貼っておきたいくらいです。カードの「情報が限られている場合は、メールに十分な詳細が含まれていない可能性があります」。2025年9月には、Google が「プロモーション」タブの「関連性の高い順」の並べ替えと、「近日中のお得な情報やタイムリーなオファーを目立たせる」ための「ナッジ」を発表しました。後で取り上げるアノテーションは、そこに構造化された形で入り込むための手段です。
Yahoo の iOS 版ヘルプページによると、AIによる要約には「イベントの日時、旅行の予約確認の詳細、請求の詳細、認証コードなどの重要な情報」が表示されます。デスクトップのユーザーは、要約をオフにできます。2026年3月、Yahoo は米国のアプリユーザー向けに Planner をリリースしました。「予約、請求の支払い期限」のような情報をメールから取り出し、カレンダーとやることリストにまとめる機能です。
ベンダーが挙げている例を見てください。搭乗券、ディナーへの招待、水道修理の見積もり、請求書、認証コード。これらの機能は、読み手の日々の雑務を片付けるために作られています。Gmail や Apple がプロモーションメールの文章をどう評価しているかを知っていると言う人がいたら、それは推測にすぎません。
それでも、基本的な点ではドキュメントの内容は一致しています。これらの機能はメッセージの内容を読み、日付、コード、金額といった具体的な事実を取り出します。Google も、そうした情報が欠けていると、カードに載せられる情報が少なくなると認めています。つまり、オファーと期限がはっきりとテキストで書かれていれば、要約はそれをそのまま伝えられます。画像の中にあったり、3つの段落に分散していたりすると、抜け落ちるかもしれません。件名、プレビュー、本文の内容が食い違っていれば、そのどれが伝わるかはわかりません。
これは、優れたコピーが昔から使ってきた逆ピラミッド型の書き方です。違うのは、流し読みする役がモデルであることが増え、そのモデルが書いたものを購読者が目にするという点です。

要約、検索の回答、Gmail の割引のアノテーションのすべてが同じ事実を拾えるように構成した、メールの例。
件名は、どの受信トレイでも自分でコントロールできる唯一の1行です。iPhone では、プレビューなしで役割を果たさなければならないこともあります。Litmus が言うように、「メインのメッセージやフックを件名で伝えることを優先」し、件名にオファーを入れましょう。プレビューには次に重要な事実(たいていは期限かコード)を入れ、90文字以内に収めます(Litmus が示している数字です)。言葉の選び方とテストについては、件名のガイドで解説しています。
本文の最初の1文は、それ自体が要約であるかのように書きましょう。オファー、期限、何をすればよいかを明記します。
10月18日(日)午後11時59分(太平洋時間)まで、すべての年間プランが20%オフ。購入手続きの際に、コード FALL20 をご入力ください。
この1文は、ざっと目を通す人にも、Apple の要約にも、Gmail の検索の回答にも、スクリーンリーダーにも役立ちます。「ブラウザで表示」のリンク、ロゴだけのヘッダー、長いあいさつは、この1文より下に移すか、削除しましょう。これらはHTMLの先頭に来るのに、要約には何の材料も与えません。
「日曜日まで」は、月曜日に読まれる要約や、3週間後の検索の回答では意味をなしません。「大幅割引」ではなく、「10月18日(日)午後11時59分(太平洋時間)まで」「年間プランが20%オフ」のように書きましょう。Gmail のリマインダーも Yahoo の Planner も、日付が明記されている必要があります。
大きな画像が1枚と、その下にテキストが1行だけのメールでは、要約が読み取れるものはほとんどありません。オファーと期限がヒーロー画像に埋め込まれているなら、ライブテキストでも繰り返しましょう。
意味のある画像には、何が写っているかを説明する代替テキストを付けましょう。alt="hero" ではなく alt="20% off annual plans, ends Sunday October 18" のようにし、装飾用の画像には alt="" を指定します。WCAG 2.2 は、テキスト以外のコンテンツにテキストの代替を求めています。ただし、要約が代替テキストを読むと明言しているベンダーはないので、それを当てにしてはいけません。
たとえば、件名が「最後のチャンス:20%オフ」、プレビューが「今夜まで」で、下のほうの段落には、セールは日曜日までと書かれているとします。人なら辻褄を合わせて読みますが、要約はそのどれかひとつを拾うかもしれません。割引、期限、コードが、すべての箇所で、セグメントごとのどのバージョンでも一致しているかを確認しましょう。
検索が絡むと、さらに厳密さが求められます。Gmail は複数のメールをもとに回答するため、火曜日のセールを金曜日のメールで延長するなら、「10月19日(月)まで延長」と省略せずに書きましょう。また、ボタンには、押すと何が起きるかを書きます。「年間プランを見る」なら要約が伝えられる行動になりますが、「こちらをクリック」ではそうはなりません。
Google のメールのアノテーションのガイドでは、「プロモーション」タブ向けの構造化データについて説明しています。<head> 内にJSON-LDの <script> を入れると、件名の横の割引バッジ(deal badge)、割引カード(deal card)、画像のプレビュー、最大10枚の画像のカルーセルを表示させられます。よくある質問によると、アノテーションは無料で、「Gmail のタブの分類器には影響せず」、「プロモーション」タブにだけ表示されます。
上の例に対応する割引のアノテーションは、次のとおりです。
<head>
<script type="application/ld+json">
[{
"@context": "http://schema.org/",
"@type": "DiscountOffer",
"description": "20% off annual plans",
"discountCode": "FALL20",
"availabilityStarts": "2026-10-13T00:00:00-07:00",
"availabilityEnds": "2026-10-18T23:59:59-07:00",
"offerPageUrl": "https://example.com/pricing"
}]
</script>
</head>割引のアノテーションには、description、discountCode、availabilityEnds のうち少なくとも1つが必要です。割引カードには、説明に加えて offerPageUrl または merchantHomepageUrl が必要で、Gmail はオファーのページのほうを優先します。以下は、Google のベストプラクティスからの抜粋です。
| フィールド | Google のガイダンス |
|---|---|
割引バッジ(description) |
「20%オフ」のように具体的に。件名と競合するため、4語以内にする |
discountCode |
コードがメール内に記載されている場合のみ。Gmail は常に、コードの前に「Code」と表示する |
availabilityEnds |
時刻とタイムゾーンを含める。メールには、送信時と、期限切れの3日前以内の2回、バンドルの最上部に表示されるチャンスがある |
| 期限切れの日付 | 残さない。Gmail は古いオファーとみなし、そのメールをバンドルに含めない |
| 画像 | テキストだけの画像は使わない。HTTPSのURLを使う。4:5、1:1、1.91:1のいずれかで、中央でトリミングされる |
注意点が2つあります。アノテーションが表示されるかどうかは「品質フィルターと頻度の上限」で決まり、Gmail はアノテーションのないメールも、「ユーザーの過去のエンゲージメント」に基づいてバンドルします。アノテーションが加えるのは構造であって、順位ではありません。また、アノテーションは本文と一致させておきましょう。本文には FALL25 とあるのにJSON-LDが FALL20 になっているのは、先ほどの一貫性の問題が、今度はコードの中で起きているということです。
いま出回っているなかで最悪のアイデアは、AI向けに隠した2通目のメールを仕込むことです。白地に白い文字、font-size:0、「要約:今年いちばんお得なセール」といったものです。やめましょう。
Gmail のメール送信者のガイドラインは明確です。「HTMLやCSSを使って、メッセージ内のコンテンツを隠さないでください。コンテンツを隠すと、メッセージが迷惑メールとしてマークされる可能性があります」。Google のウェブスパムに関するポリシーはウェブサイト向けのものですが、考え方がよくわかります。「フォントサイズや不透明度を0に設定する」ことは隠しテキストの悪用にあたり、「Google 検索で生成AIの回答を操作しようとする」ことはスパムとされています。
Google が厳しいのには理由があります。2025年7月、0DIN は、Gemini のメール要約機能(Summarize this email)に対するプロンプトインジェクションの概念実証を公開しました。font-size:0 や白い文字で隠した指示によって、要約に偽のパスワード警告が付け加えられたのです。Google は2025年6月のセキュリティに関する投稿で、「メールなどさまざまな形式に含まれる悪意のあるプロンプトや指示」を検出する分類器について説明しています。あなたが「親切心で」隠した要約も、分類器からは同じように見えます。
正直に付け加えておくと、Brew を含むほぼすべてのプラットフォームは、隠し要素を使ってプレビューテキストを設定しています。メールには、プレビューテキスト用のヘッダーがないからです。Google は、これを例外として明記していません。私たちは、このルールの対象は読み手に見える内容と異なるコンテンツだと解釈しています。プレビューは短くし、見えているメールの内容と一致させておきましょう。
alt="" が付いている。DiscountOffer のバッジは4語以内で、終了日時は未来の日付になっており、タイムゾーンも入っている。display:none、font-size:0、opacity:0 で検索して、見つかるのがプレビューテキストだけである。コピーについて詳しくは、読み手が行動に移せるマーケティングメールの書き方をご覧ください。そしてそもそも、受信トレイに届かなければ、どれも意味がありません。
Brew は、こうしたチェックのいくつかを代わりに行います。Brew のエージェントは、プレビューテキストを、件名を繰り返すのではなく補足する短い1行として書きます。プレビューテキストは、送信ダイアログの「プレビュー」欄で編集できます。配信時には、React Email と同じように、Brew がプレビューの後ろを不可視の文字で埋めるので、本文のコピーがプレビューの行にはみ出しません。
Brew のメール診断は、「件名とプレビューの長さ、明確さ、重複、プレースホルダー」と、「代替テキスト、コントラスト、ドキュメントの言語、見出し、リンクテキスト」をチェックします。ここで関係するのは、次の項目です。
alt 属性のない画像。加えて、代替テキストが画像を説明しているかどうかのAIによるレビュー(ファイル名は不合格)完全な診断には5クレジットかかり、MCP(audit_email)、CLI、APIからも実行できます。Gmail のアノテーションは、診断の対象外です。Brew は DiscountOffer のマークアップを生成しませんし、診断はあらゆる <script> を、受信トレイで削除されることの多いマークアップとして指摘します。アノテーションを使うなら、自分のHTMLに追加してください。チェックの6番目、メール全体で期限が一致しているかの確認は、引き続き人が読んで行います。
Apple Intelligence 対応のデバイスでは、以前はプレビューテキストが表示されていた場所に、「受信トレイの各メールの下に、短い要約が自動的に表示されます」。件名は引き続き表示されるので、件名でオファーを伝え、本文の冒頭にオファーと期限を入れましょう。
直接はできません。Google は要約の作り方を公開しておらず、要約を指定できるマークアップもありません。コントロールできるのはコンテンツなので、オファー、期限、行動を明確に、一貫して書きましょう。
いいえ。Google のよくある質問によると、アノテーションは「Gmail のタブの分類器には影響せず」、品質フィルターと頻度の上限に従って、「プロモーション」タブにだけ表示されます。
Gmail のガイドラインは、HTMLとCSSでコンテンツを隠さないよう求めていますが、一般的な手法であるプリヘッダーには触れていません。プリヘッダーは短くし、見えているメールの内容と一致させ、それ以外は何も隠さないようにしましょう。
信頼できる公開データは見つかっておらず、ベンダーも報告していません。Apple Mail と Gmail のユーザーからのクリックとコンバージョンを注視し、要約がオファーを正しく伝えていれば成功とみなしましょう。
はい。ただし、見える形で書く場合に限ります。オファー、期限、行動を入れた最初の1行は、どの読み手にも役立ちます。問題になるのは、隠したバージョンのほうです。
